甲子園

ただいま夏の全国高校野球選手権大会開催中。
昔、高校球児は「かっこいいおにいちゃんたち」だった。
そしていつの間にか「同い年」
また月日が経って「年下くんたち・・・」。
きっと
「わが子ほどの年の差」
になるのも、あっという間なんだろう。

昨日実家から戻ってきた。
滞在中食事をしているとき、弟が
「甲子園で阪神むっちゃ応援してたら、前の席のおっちゃんが
キンキンに冷えたビールを何本も振舞ってくれた。」
と言っていたのを新幹線の中で思い出した。
そう、この手の話はよく聞く話。
逆に、まだ巨人ファンだった名残がある頃
（かつては家族全員巨人ファンだったのだ）
甲子園での巨人vs阪神戦で、高橋由伸がホームランを放ち
思わず歓喜をあげてしまって「しまった」と思ったと同時に
数人に白い目で見られたのだそうだ。
まだ内野席だったからいいものの、これを外野席でやったら
自殺行為だ。

甲子園で、特に巨人-阪神戦を見るのはとても楽しい。
アンチ巨人があまりに多いからだ。
私は元木大介が高校球児だった頃、それはもう大好きだった。
チームメート（控え選手含む）の顔も、名前も守備位置も
出身地も好きな食べ物も、すべて覚えていたくらい。
でも彼は、ドラフト前に巨人に逆指名をした。
結果、巨人からは2位指名で、ダイエーに1位指名されたため
巨人に入ることはできず、一年浪人して翌年巨人入りした。
それから・・・
最初の数年間、甲子園に帰ってきた際には
彼がバッターボックスに立つ度に
「カ・エ・レ！カ・エ・レ！カ・エ・レ！・・・」
帰れコールの嵐。
「大阪人のくせに、巨人なんかに逆指名しやがって
浪人までして巨人いきやがって」
こんな声が聞こえてきそうだ。
実際ガラの悪い虎キチのおっちゃんたちは
「もう二度と帰ってくんな！」などと野次を飛ばしていた。

その反面、松井秀喜くんと言ったら。
彼は関西の出身でもないのに昔から阪神ファンで
「阪神にいけたらいいですね」
などと言ってくれていた。
しかも、当時の阪神は弱小チームだった。
ドラフトでは、当時監督だったミスターが当たりくじを引き
結果巨人入りとなった。
だから、甲子園で彼が打席に入っても
少なくとも私は、一度も彼への辛辣な野次を聞いたことがない。
「関西人じゃないのに阪神ファンでいてくれて
阪神入団を希望までしてくれて、でも
ウチのくじ運が悪かったんやなぁ。残念や」
と、虎キチたちはきっと思っていたのだ。

それにしても、最近球場のドーム化が増えたよね。
名古屋も確かそうだ。
TUBEのボーカルの前田さんが
「夏の野外ライブは、空の下でやるものだから
ドーム化は寂しい。
でも、甲子園は数年後大きな改修をするらしいんだけど
ドームにはしないんだって！」
と喜んでいて、私も同様にとても嬉しかった。
近い過去、大阪大会の開会式を
大阪ドームでやっていたのを見て、なんだか寂しくなった。
選手たちが涼しげに行進していた。
高校球児は、夏のギラギラの太陽のもと
坊主頭に、キラリと光る汗と涙が、いいのだよ。
暑くて、大変なんだろうけど。